リオ郊外のカポエイラとメストレ達①

  •   08, 2022 21:01
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俺が直近でブラジルに行っていたのは2016~2019年、郊外に暮らしカポエイラを中心に生きていた。
ちなみに郊外で生活するのは初めてじゃない。

郊外特有の茶色い景色を眺めながら、丘と丘の間を縫うように進んでいくバス。
車窓からと路上や公園でホーダをしているのが時々見える。
Penha地区の広場、Vicente地区の公園、Caxias市中心街の路上。

グループは本当に沢山あるが、有名なのはBesouro, Grupo Terra, Terra Firme, Terra Nossa, Capoeira Martins, Capoarte, Grupo Nagôなどなど。
アバダのようなおっきなグループではなく、郊外の小さなグループだ。
リオ州カポエイラ連盟というものがあり、其れに加入している所は多いはず。

彼ら、道着の着こなし方から、ジンガの仕方、ホーダの雰囲気まですべてが違う。
メストレ、つまり師範の段位を授ける基準も勿論違う。
それは良い悪いの話ではない。単純に「異なる」のだ。

郊外で師から弟子へ伝え受け継いできたカポエイラ。
自分の目からはある種、原始的なカポエイラに見え、とても魅力的だったと同時に、
師匠からは「迂闊にホーダに飛び込むなよ」と言われていた。

「回し蹴りは水平に」
「蹴った後はしっかり基本の姿勢に戻って」
「自分の正中線を相手の正中線と合わせて」
のような、そんな合理的な動きではないのだ。

もっと本能的で、悪意と狡猾さが見え隠れする、
「術中にはまる」とやばい。そんなスタイルに見えた。

基本に忠実に言われたとおりに練習をこなしても、ジムのマシーンで筋トレしても、
彼らのもっている「これ」を身に付けなければ、ただの筋肉マンだ。

彼らがもっている「これ」は色んな名前があるが、その一つを上げるならきっとGINGA(ジンガ)なのだろう。
ジンガはカポエイラだけで身に付くものじゃない。
それと共にここリオ郊外の人達は育ってきた。

我が師匠もその一人。
彼のジョーゴはアバダの他の誰にも真似できない独特の「あれ」をもっている。
カリオカ中のカリオカである師匠が持っていないわけがない。

カポエイラ漫画「バトゥーキ」の作者である迫さんが、取材をしにリオにいらした時、
リオ郊外でのインタビューをセッティング設定させてもらったのは何を隠そう自分。

アバダの事をよく知って欲しかったが、カポエイラはアバダだけじゃない、ここ郊外には宝がちらばっている。
とても価値があるのに注目されず、一人の素朴なカリオカとして静かに生涯を閉じていかれるメストレのいかに多い事か。
カポエイラは世界中に知られて、ブームすら来たのに、ここの師匠方は知られることすらなくいなくなっていく。


「郊外のカポエイラ、『カポエイラ・ド・スブルビオ』を知ってほしい」


師匠にもその事を伝えたら賛成してくれた。
そして出た名前が3つ
MESTRE MINTIRINHA(メストレ・ミンチリーニャ)
MESTRE MARTINS(メストレ・マルチンス)
MESTRE CELSO(メストレ・セウソ)

その場で住所を教えてくれた。
ブラジル人特有なのかな、道の名前と建物の番号を暗記している事が多い。

「ショッキ(俺)、直接言って話をつけてこい。俺の弟子だと言えば分かってくれるよ。」
「MESTRE ZÉ PEDRO(メストレ・ゼ・ペドロ)のホーダの話も聞いてこい。」
ゼ・ペドロのホーダはBonsucesso地区で開催されていた有名なホーダだ。
アバダのメストレ・カミーザもそこでジョーゴした。

期待よりも緊張を胸にBRTに乗る。
相変わらず、BRTの駅は荒れ果てている。


つづく
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Tag:カポエイラcapoeiraリオ

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