ファンキとデンデとシュラスコとマシンガン①
- 09, 2015 18:16
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昨日はLeblon(レブロン)のカポエイリスタのおうちにお世話になった。
Leblonはリオ市の南エリアにあるいわゆるお金持ちエリア。
今回のリオ滞在は兄弟弟子のアランの家にお世話になるので、
今朝はアランにバイクで迎えに来てもらって、そのまま家に帰るのかと思っていた。
しばらく北に行けばすぐにAv.Brasil(ブラジル大通り)に合流で、あとはひたすら北西に行けばCordovil(コルドヴィウ)地区のアランの住んでいるファヴェーラに着くはず。
Cidade Alta(シダーヂ・アウタ ※意味は「高台の街」)はリオの他のファヴェーラと違って、茶色いレンガ造りではない。
紅白色をした同じ規格の建物、つまり団地の様になっている。

高台の上にそびえ立つ赤白赤白の建物がAv.Brasilからじきに見えてくるはず...
あれ?
バイクは何故か北東に進んでリオ国際空港の方向に。
そこはIlha do Governador(ゴヴェルナドール島)。国際空港がある島だ。
ガレアォン国際空港に到着した観光客がリムジンバスやタクシーに乗ってコパカバーナやイパネマに向かう時、
最初に車窓から眺めるリオでジャネイロはまさにこの島の景色だ。
次に島の景色を拝むのは観光を終えて空港に行くとき。
Ilha do Governador(イーリャ・ド・ゴヴェルナドール ※意味は「総督の島」)
通り過ぎられていく島。
ここは俺も土地勘が無い。行く用事もないので、本当に別世界。
島と言っても沖縄みたいなのではない。
自分の経験では、この島の水辺はどぶ臭いか小便臭い。(島の人ごめんなさい)
たまに釣りしている人がいるけど、この水域の魚は食べたくない。
アランの操縦する250㏄バイクは日本人を載せてどんどん島の奥へと進む。

景色が茶色くなった。
平坦な道から坂道に変わった。
ハイ、でたー。またこのパターン。
もう慣れていた。
何も前置きせずにいきなりファヴェーラに連れて行く友達。
遠目に茶色い丘が見えた時、内心分かってはいた(笑)
上り坂をぐんぐん進むアラン。
きつくなる傾斜。
ちなみに後部座席の俺は、3か月分の荷物が入ったミリタリー物の巨大バックパックを背負っている。
75㎏の身体が後ろに引っ張られる。
後部座席で、死ぬほどcadeira(カポエイラの体勢。相撲取りの様に腰を落として出っ尻にする)で抵抗する。
実は昔、この状態でブラジルのド田舎(マラニャオン州インペラトリース)の国道で深夜3時に後ろに落とされたことある。
バイクの後ろに乗って派手に転んだのはそれ以外にも経験済みなのだけど、
リオのファベーラの傾斜でバックドロップは、さすがのカポエイリスタでも受け身は取れない
なんとか耐えていると道が一旦平たんになった。
ああ。踊り場だ。
そこにはパイプ椅子に座った黒人の青年。
キャップをかぶり、半裸、下はハーパンにビーサン。
片手にはトランシーバー。
ああ。リオに戻ってきたんだなぁ。
今回の渡伯ではこのタイミングでその実感がやってきた。
アラン: Boa tarde, amigo. Onde que tá acontecendo o futsal dos MCs da funk da antiga?
(こんにちはアミーゴ。昔のファンキの歌手達のフットサル大会ってどこで開催してるの?)
青年: Lá em cima. Pode subir.
(上がったとこだよ。このまま行っていいよ。)
そう言うと手に持ったトランシーバーで、二人乗りのバイクの奴らをそっちに上げるぞ、といった旨の内容を話していた。
アラン&湖: Valeu, obrigado, camarada.(ありがとう。)
青年: Valeu! (おいっす)
ファベーラのギャングの事を少しずつ説明していきたいと思う。
今日はこの青年について。
ギャングたちにはそれぞれの役職がある。
そのなかでもこの青年は「オリェイロ」というシフトに入っていた。
要は見張りである。
プロピーナ(チップ≒裏金)をもらいに来た悪徳警官のパトカーや、
敵対するギャングらしい奴らがくると、トランシーバーですかさず他の仲間に連絡する。
いわば彼は自分の職務を果たしていたのだ。
今まで自分が見てきた経験から言うと、オリェイロは武装している時とそうじゃない時がある。
バイクは更に坂を上がる。
そこで今更ながらアランに言った。
湖: ところでこれ何ファヴェーラ?
アラン: Dendê
湖: まーーーーじで!?
カリオカには有名なMorro do Dendê(モホ・ド・デンデェ)である。
昔のファンキを楽しんだ世代ならこのファヴェーラの名前には馴染みがある。
割と最近のファンキでもこれを歌詞に盛り込んだものがある。
それらは個人的に大好きな曲ばかり。
それと、カポエイリスタとしてDendê(デンデ椰子)という言葉には昔から縁を感じていた。
行くことないだろうなと思っていたけれど、リオ2日目にしてこんな形で来ることになった(笑)
わくわくしているとついにmorro(モホ ※丘)の頂上についた。
そこでバイクを降りてヘルメットを脱いでいると、
けっこう強めのmaconha(マコーニャ ※大麻)の匂いがした。
横を見るとフットサルコートがあって、そこから白い煙がモックモク。
赤い目でトローンとしている。
景気づけにやってんのかな(笑)
絶対にプレーに影響するだろ(笑)
コートから数メートル離れたところには地元デンデェのギャングの青年たちがいた。
これまで縁あって色んなファヴェーラに遊びに行ったり住んだりしたが、
あれほどまでに武装したあれほどまでの大人数をいっぺんに見たことは無い。
大袈裟じゃなく20人以上はフル武装でいた。
ちなみに自分の中でのフル武装の勝手な定義は拳銃+マシンガンの状態。
拳銃はグロックとベレッタが圧倒的に多い。
マシンガンはダントツでAK-47とFAL(通称は762)。
銃マニアではないのだが、生活しているうちに覚えてしまった。
たまにお手製の手りゅう弾を持っている人もいる。
銀色のアルミっぽいやつに黒いビニールテープがぐるぐる巻きにされているような見た目のやつだ。
今日は、90年代に活躍してた、古き良きファンキの歌い手たちがフットサルをして、そのあとはパーティーらしい。
これは放置されるパターンの、俺にとって一番きついやつだなと既に察しながらも、
一団は別の所にあるフットサルコートに移動し始めた。
MC達+日本人のグループの前後にフル武装兄ちゃんたちがいてなんだかSPつけてる感覚だった。
こんな重装備のSPあるか。
つづく
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Leblonはリオ市の南エリアにあるいわゆるお金持ちエリア。
今回のリオ滞在は兄弟弟子のアランの家にお世話になるので、
今朝はアランにバイクで迎えに来てもらって、そのまま家に帰るのかと思っていた。
しばらく北に行けばすぐにAv.Brasil(ブラジル大通り)に合流で、あとはひたすら北西に行けばCordovil(コルドヴィウ)地区のアランの住んでいるファヴェーラに着くはず。
Cidade Alta(シダーヂ・アウタ ※意味は「高台の街」)はリオの他のファヴェーラと違って、茶色いレンガ造りではない。
紅白色をした同じ規格の建物、つまり団地の様になっている。

高台の上にそびえ立つ赤白赤白の建物がAv.Brasilからじきに見えてくるはず...
あれ?
バイクは何故か北東に進んでリオ国際空港の方向に。
そこはIlha do Governador(ゴヴェルナドール島)。国際空港がある島だ。
ガレアォン国際空港に到着した観光客がリムジンバスやタクシーに乗ってコパカバーナやイパネマに向かう時、
最初に車窓から眺めるリオでジャネイロはまさにこの島の景色だ。
次に島の景色を拝むのは観光を終えて空港に行くとき。
Ilha do Governador(イーリャ・ド・ゴヴェルナドール ※意味は「総督の島」)
通り過ぎられていく島。
ここは俺も土地勘が無い。行く用事もないので、本当に別世界。
島と言っても沖縄みたいなのではない。
自分の経験では、この島の水辺はどぶ臭いか小便臭い。(島の人ごめんなさい)
たまに釣りしている人がいるけど、この水域の魚は食べたくない。
アランの操縦する250㏄バイクは日本人を載せてどんどん島の奥へと進む。

景色が茶色くなった。
平坦な道から坂道に変わった。
ハイ、でたー。またこのパターン。
もう慣れていた。
何も前置きせずにいきなりファヴェーラに連れて行く友達。
遠目に茶色い丘が見えた時、内心分かってはいた(笑)
上り坂をぐんぐん進むアラン。
きつくなる傾斜。
ちなみに後部座席の俺は、3か月分の荷物が入ったミリタリー物の巨大バックパックを背負っている。
75㎏の身体が後ろに引っ張られる。
後部座席で、死ぬほどcadeira(カポエイラの体勢。相撲取りの様に腰を落として出っ尻にする)で抵抗する。
実は昔、この状態でブラジルのド田舎(マラニャオン州インペラトリース)の国道で深夜3時に後ろに落とされたことある。
バイクの後ろに乗って派手に転んだのはそれ以外にも経験済みなのだけど、
リオのファベーラの傾斜でバックドロップは、さすがのカポエイリスタでも受け身は取れない
なんとか耐えていると道が一旦平たんになった。
ああ。踊り場だ。
そこにはパイプ椅子に座った黒人の青年。
キャップをかぶり、半裸、下はハーパンにビーサン。
片手にはトランシーバー。
ああ。リオに戻ってきたんだなぁ。
今回の渡伯ではこのタイミングでその実感がやってきた。
アラン: Boa tarde, amigo. Onde que tá acontecendo o futsal dos MCs da funk da antiga?
(こんにちはアミーゴ。昔のファンキの歌手達のフットサル大会ってどこで開催してるの?)
青年: Lá em cima. Pode subir.
(上がったとこだよ。このまま行っていいよ。)
そう言うと手に持ったトランシーバーで、二人乗りのバイクの奴らをそっちに上げるぞ、といった旨の内容を話していた。
アラン&湖: Valeu, obrigado, camarada.(ありがとう。)
青年: Valeu! (おいっす)
ファベーラのギャングの事を少しずつ説明していきたいと思う。
今日はこの青年について。
ギャングたちにはそれぞれの役職がある。
そのなかでもこの青年は「オリェイロ」というシフトに入っていた。
要は見張りである。
プロピーナ(チップ≒裏金)をもらいに来た悪徳警官のパトカーや、
敵対するギャングらしい奴らがくると、トランシーバーですかさず他の仲間に連絡する。
いわば彼は自分の職務を果たしていたのだ。
今まで自分が見てきた経験から言うと、オリェイロは武装している時とそうじゃない時がある。
バイクは更に坂を上がる。
そこで今更ながらアランに言った。
湖: ところでこれ何ファヴェーラ?
アラン: Dendê
湖: まーーーーじで!?
カリオカには有名なMorro do Dendê(モホ・ド・デンデェ)である。
昔のファンキを楽しんだ世代ならこのファヴェーラの名前には馴染みがある。
割と最近のファンキでもこれを歌詞に盛り込んだものがある。
それらは個人的に大好きな曲ばかり。
それと、カポエイリスタとしてDendê(デンデ椰子)という言葉には昔から縁を感じていた。
行くことないだろうなと思っていたけれど、リオ2日目にしてこんな形で来ることになった(笑)
わくわくしているとついにmorro(モホ ※丘)の頂上についた。
そこでバイクを降りてヘルメットを脱いでいると、
けっこう強めのmaconha(マコーニャ ※大麻)の匂いがした。
横を見るとフットサルコートがあって、そこから白い煙がモックモク。
赤い目でトローンとしている。
景気づけにやってんのかな(笑)
絶対にプレーに影響するだろ(笑)
コートから数メートル離れたところには地元デンデェのギャングの青年たちがいた。
これまで縁あって色んなファヴェーラに遊びに行ったり住んだりしたが、
あれほどまでに武装したあれほどまでの大人数をいっぺんに見たことは無い。
大袈裟じゃなく20人以上はフル武装でいた。
ちなみに自分の中でのフル武装の勝手な定義は拳銃+マシンガンの状態。
拳銃はグロックとベレッタが圧倒的に多い。
マシンガンはダントツでAK-47とFAL(通称は762)。
銃マニアではないのだが、生活しているうちに覚えてしまった。
たまにお手製の手りゅう弾を持っている人もいる。
銀色のアルミっぽいやつに黒いビニールテープがぐるぐる巻きにされているような見た目のやつだ。
今日は、90年代に活躍してた、古き良きファンキの歌い手たちがフットサルをして、そのあとはパーティーらしい。
これは放置されるパターンの、俺にとって一番きついやつだなと既に察しながらも、
一団は別の所にあるフットサルコートに移動し始めた。
MC達+日本人のグループの前後にフル武装兄ちゃんたちがいてなんだかSPつけてる感覚だった。
こんな重装備のSPあるか。
つづく




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