カポエイラをするとどうなる?(2) 後編
- 25, 2019 00:02
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(前回の続き、、、)
例えば、会社で何人かの同僚に対して連絡事項がある際、同じ内容を言うにも、全く同じ言い方はしないですよね?
語調を変えたり、
本題に入る前に小話をしたり(落語で言う枕)、
敬語の度合いを変えたり、
同郷の人だったら敢えてお国言葉で伝えたり、
色々な方法があります。
言葉の機微というものです。
カポエイラはそれを非言語で行います。
非言語だから良いんです。
いろんな用途に応用が利きますから。
私自身の実体験を挙げますね。
私はこれまでに、縁あって数々のファベーラ(ブラジルのスラム街のこと)に住みました。
時々日本のテレビ番組で取り上げられるような、常に外国人観光客やボランティアであふれている
「ポップ」なファベーラではなく、外国人が一人もいないようなファベーラです。
なんせそこは郊外。
世界の果てです(笑)
現地に住んでいた当時、自分自身で住んでいるからこそ、現地の友達とふざけて言い合ったものです、
「Aqui onde gente mora é o final do mundo, porra. kkkkk」
(俺たちが住んでるここは世界の果てだ。ははははっ)
半分観光地化されたようなファベーラと違い、
そういった所では日本人は異物でしかありません。
場合によっては連邦警察のスパイだと疑惑もかけらかねません。
拉致監禁されるかもしれません。
何ヶ月も住んでいるにも関わらず、そこのギャングに時々呼び止められて尋問されたことも何度かあります。
よく見ると、知らない顔。ただ単に彼の「シフト」と私の出没がそれまで重ならなかったせいです(笑)
ギャング: (例のごとくトランシーバとマシンガンを持っています。)おい!中国人!
自分:(程よいナチュラルな笑顔をキープです。) おいっす兄弟
ギャング: !?…どこいくつもりだ!
自分: どこって、俺んち帰んだけどぉ?
ギャング: 家ってどこだ!
自分: あれだよ、あれーーー。えっとハロウドの娘と結婚したジョルジーニョ。
あいつの貸してるワンルーム。昔バールだったとこの真横。いま改築してるとこ。
テヘイロ(カンドンブレの道場)の下だよ。
わかる?
ギャング: (突然100万ドル100万レアルの笑顔)あーーーー(笑)アロウドのとこか。
じゃあお前はこのファベーラの新しい住人だな。じゃぁ、俺らここのクルーの事は知ってんな。よろしくな。
自分: (握手を求められたので握手しながら)もちろん知ってんよ。もう俺ここ長ぇんだからさー。じゃぁな。疲れちったよ。家帰ったらビールかっ食らって寝んよ今日は。ハハハ
という会話です。
気づきましたか?私のしゃべり方が若干「アンちゃん」っぽいのが。
これわざとです。
こういう話し方をする方が、ファベーラではすぐに信用されるんです。もちろん時と場合によっては敢えて丁寧に話します。
こういう話し方をするときは、ポイントがあります。
完全なイントネーションと、経験に基づいた語彙選びです(笑)
絶対に噛んじゃいけません。
噛んだ時点で変な空気になります。舐められます。
所変わって、お金持ちの地域のお金持ち家庭にお呼ばれしてディナーをご馳走になった時↓
おじさま: いやぁ、リオデジャネイロでの生活は危なくないかい?
自分: はい。毎日酷いニュースばかりです。私たちは常に気を付けて街を歩かないといけないですね。
おじさま: まぁ、ファベーラの連中はいつもしょうもないことするからな。
自分: ははは(苦笑)。そういう部分もあるかもしれないですね。まぁ、大半はまじめに働いている人たちなんですが、
一部の人たちが酷いことをするから、負のイメージが定着してしまいますよね。私たちも偏見を持たないように改めて気を付けないといけませんよね。(やや偏見気質のおじさまの顔をつぶすことなく、諭すテクニック。)
おじさま: そ、そうだね。その通りだ。まったくだよ。はっはっは。母さん、赤ワインを持ってきてくれ。
自分: お手洗いはあちらですか?失礼いたします。
分かりますか?
本当なら「おい!ファベーラのことを知りもしないで悪く言うなぁ!」と言ってフランスパンで頭をひっぱたく(galopante)ところですが、
そこである意味カポエイラのjogoをするのです。
相手に合わせて、状況に合わせて、アプローチの方法を微調整する。
これって普段私たちが人とコミュニケーションをとるときにしている営みなんです。
ただ、それが苦手な人は沢山いますよね。
「あのお客さんとっつきにくいわ~」
「あの人気難しいわ~」
「あいつめんどくさいな~」
そういう時こそカポエイラをいろんな方便でやれば良いんですよ。
相手に合わせて、ものごとを上手いように進める。
これがわかるようになると、今度は敢えて意図的に相手に合わせなかったり、
そしてそれによっておこる相手の反応を利用して何かを仕掛けたりと、いろんな展開ができるようになります。
jogoで出来ることは、日常生活でもできるんです。
でもまずは相手に合わせて自分がカメレオンの様に変化する方法を身に付けることを、
カポエイラから学んでみてください。そのうちそれが役に立つ時が来ます。
ここで忘れないでください。
カメレオンが色を変えるのは大切なものを守るため。
カメレオンの場合は「生命」です。
あなたの場合は何ですか?
それを是非カポエイラから学んでみてください。
一緒にジンガしながら考えましょ。
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例えば、会社で何人かの同僚に対して連絡事項がある際、同じ内容を言うにも、全く同じ言い方はしないですよね?
語調を変えたり、
本題に入る前に小話をしたり(落語で言う枕)、
敬語の度合いを変えたり、
同郷の人だったら敢えてお国言葉で伝えたり、
色々な方法があります。
言葉の機微というものです。
カポエイラはそれを非言語で行います。
非言語だから良いんです。
いろんな用途に応用が利きますから。
私自身の実体験を挙げますね。
私はこれまでに、縁あって数々のファベーラ(ブラジルのスラム街のこと)に住みました。
時々日本のテレビ番組で取り上げられるような、常に外国人観光客やボランティアであふれている
「ポップ」なファベーラではなく、外国人が一人もいないようなファベーラです。
なんせそこは郊外。
世界の果てです(笑)
現地に住んでいた当時、自分自身で住んでいるからこそ、現地の友達とふざけて言い合ったものです、
「Aqui onde gente mora é o final do mundo, porra. kkkkk」
(俺たちが住んでるここは世界の果てだ。ははははっ)
半分観光地化されたようなファベーラと違い、
そういった所では日本人は異物でしかありません。
場合によっては連邦警察のスパイだと疑惑もかけらかねません。
拉致監禁されるかもしれません。
何ヶ月も住んでいるにも関わらず、そこのギャングに時々呼び止められて尋問されたことも何度かあります。
よく見ると、知らない顔。ただ単に彼の「シフト」と私の出没がそれまで重ならなかったせいです(笑)
ギャング: (例のごとくトランシーバとマシンガンを持っています。)おい!中国人!
自分:(程よいナチュラルな笑顔をキープです。) おいっす兄弟
ギャング: !?…どこいくつもりだ!
自分: どこって、俺んち帰んだけどぉ?
ギャング: 家ってどこだ!
自分: あれだよ、あれーーー。えっとハロウドの娘と結婚したジョルジーニョ。
あいつの貸してるワンルーム。昔バールだったとこの真横。いま改築してるとこ。
テヘイロ(カンドンブレの道場)の下だよ。
わかる?
ギャング: (突然
じゃあお前はこのファベーラの新しい住人だな。じゃぁ、俺らここのクルーの事は知ってんな。よろしくな。
自分: (握手を求められたので握手しながら)もちろん知ってんよ。もう俺ここ長ぇんだからさー。じゃぁな。疲れちったよ。家帰ったらビールかっ食らって寝んよ今日は。ハハハ
という会話です。
気づきましたか?私のしゃべり方が若干「アンちゃん」っぽいのが。
これわざとです。
こういう話し方をする方が、ファベーラではすぐに信用されるんです。もちろん時と場合によっては敢えて丁寧に話します。
こういう話し方をするときは、ポイントがあります。
完全なイントネーションと、経験に基づいた語彙選びです(笑)
絶対に噛んじゃいけません。
噛んだ時点で変な空気になります。舐められます。
所変わって、お金持ちの地域のお金持ち家庭にお呼ばれしてディナーをご馳走になった時↓
おじさま: いやぁ、リオデジャネイロでの生活は危なくないかい?
自分: はい。毎日酷いニュースばかりです。私たちは常に気を付けて街を歩かないといけないですね。
おじさま: まぁ、ファベーラの連中はいつもしょうもないことするからな。
自分: ははは(苦笑)。そういう部分もあるかもしれないですね。まぁ、大半はまじめに働いている人たちなんですが、
一部の人たちが酷いことをするから、負のイメージが定着してしまいますよね。私たちも偏見を持たないように改めて気を付けないといけませんよね。(やや偏見気質のおじさまの顔をつぶすことなく、諭すテクニック。)
おじさま: そ、そうだね。その通りだ。まったくだよ。はっはっは。母さん、赤ワインを持ってきてくれ。
自分: お手洗いはあちらですか?失礼いたします。
分かりますか?
本当なら「おい!ファベーラのことを知りもしないで悪く言うなぁ!」と言ってフランスパンで頭をひっぱたく(galopante)ところですが、
そこである意味カポエイラのjogoをするのです。
相手に合わせて、状況に合わせて、アプローチの方法を微調整する。
これって普段私たちが人とコミュニケーションをとるときにしている営みなんです。
ただ、それが苦手な人は沢山いますよね。
「あのお客さんとっつきにくいわ~」
「あの人気難しいわ~」
「あいつめんどくさいな~」
そういう時こそカポエイラをいろんな方便でやれば良いんですよ。
相手に合わせて、ものごとを上手いように進める。
これがわかるようになると、今度は敢えて意図的に相手に合わせなかったり、
そしてそれによっておこる相手の反応を利用して何かを仕掛けたりと、いろんな展開ができるようになります。
jogoで出来ることは、日常生活でもできるんです。
でもまずは相手に合わせて自分がカメレオンの様に変化する方法を身に付けることを、
カポエイラから学んでみてください。そのうちそれが役に立つ時が来ます。
ここで忘れないでください。
カメレオンが色を変えるのは大切なものを守るため。
カメレオンの場合は「生命」です。
あなたの場合は何ですか?
それを是非カポエイラから学んでみてください。
一緒にジンガしながら考えましょ。
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